Star Dust ~星のカケラ~
額に感じる冷たい感触、微かなハーブの香り。


「え?」


視界に見えるのは天蓋。入り口で話をしていて……


「あ、気がついた?うーん。本当にアッシュグリーンだね。親父隠し子でもいたのかな」


同じアッシュグリーンの瞳が覗き込む。


「魔法が使えないといっておりますし、国王陛下に限ってそんなことは」


「俺もレイって呼んだんだからそんな畏まらないでよ」


そう言われたレイは1つ深く息を吐いた。


「あ、やっぱりたんこぶになってるね。ごめんね。確認なしにあけて」


「いえ、こちらこそ入り口に突っ立っていてすいませんでした」


慌てて身体を起こす。思考回路が壊れていても、今目の前にいるのがどれだけ身分の高い人間かはわかる。


「痛いよね。今治すから」


「シュー。俺が」


制止させようとするレイを尻目にシューと呼ばれたこの国の王子であろう人物は柚子のおでこに手を当てた。


熱い?温かい?よくわからないけど、気持ちいい。痛みが消えていく。



「はい、お終い。もう痛くはないだろ。レイのやつ治癒魔法苦手なくせに」


そう言って柚子に笑いかけた。


「あ、ありがとうございます。あのー、ここはどこなんでしょうか?」



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