溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
「ふふっ…。

私と竜臣君は、ちゃんと竜臣くんが離婚してから寄り添うようになったから大丈夫。
瞳さんを裏切るような事は竜臣くん決してしなかったから安心してちょうだい」

私を安心させるみたい。
弥恵さんの気配りは嬉しいし、ちらっとよぎった私の疑問をクリアにしてくれたけど。

違う。逆の事を私は思ったんだけど。

「違うんです。逆に母が父と弥恵さんの仲を邪魔したんじゃないかと」

「あら…。そんな風に思っちゃったのね。

竜臣くんは私以外に好きな人がいて…でもうまくいかなくて、その後瞳さんと結婚したの。
私が竜臣くんの心に入り込んで幸せになれたのはずっと後。
瞳さんは関係ないの」

「はぁ…そうなんですか。他に好きな…ひと」

「…ずっとひきずってたわね。
その気持ちを捨てられなくて…離婚したって言ってた。

でも、透子ちゃんだけは本当に愛してたの。
最後に透子ちゃんを抱いた感触が忘れられなくて…よく夢にも出てきたって言ってたわ」

「夢に…」

「そう。夢の中の透子ちゃんはずっと赤ちゃんのままだって悲しそうにしてた」

「なら…会いに来てくれたら良かったのに。
一度も…会えなかった」

自分でも気づくくらいに声が震えてる。
父が私を望んでくれていたのを知ったのはかなり前でそれなりに心を整理してたけど、夢にまで私を思い出すなら…苦しむくらいに私に会いたかったなら…一度でも会いに来てくれたら良かったのに。
涙は出ないし気持ちもしっかりしてる私はもう親を恋しがるような年齢じゃない。
とっくに私が親になっててもおかしくない立派な大人なのに。

今まで恋しいなんて思わなかった父の姿を想像して、震える声を抑える事ができない。
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