溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
泣いている私をそのままにしてくれる弥恵さんは、しばらく何も語らずにただ私が落ち着くのを待ってくれていた。

私の感情の波は、父が私に対して抱いていた気持ちを誤解したまま過ごしていた事への罪悪感から起こっているのに気付くのは簡単。

それだけでなく、濠がどれだけ私を大切にしてくれていたのかを感じたここ数日の慌ただしい出来事…。
私が思い込んでいる以上の愛ある束縛と温もりで包みながらも押し付けずに…いつも私が幸せに感じるように見守ってくれていた事を知るにつれて私がいかに周りに目を向けず自分本意だったかを実感せずにはいられない。

父の想いや存在を無視しながら気付く事なく…
父が亡くなって手遅れになるまで自分自身にしか目を向けず。

父だけじゃない。

弥恵さんと連絡を取り合っていたらしい母と、その傍らにいた有二ぱぱの気持ちにも何も気付かなかった。

落ち着いて、じっくり向き合わないと…。

私の周りのすべてに…。

ようやく涙もとまって、弥恵さんの心配している様子が目に入った。

「…泣いちゃってすみません」

「ううん、いいのよ。

突然たくさんの事を聞かされたら混乱しちゃうわよね…。
透子ちゃんが知らなかった事ばかりだし、もう
どうしようもない事ばかり。

濠くんや有二さんが心配してたのもわかるわ」

「え…?」

「あ…二人が来てくれたって言ったでしょ?

男前二人が揃いも揃って透子ちゃんを心配しながら私の事も気遣ってくれたの。

いい男ね」

ふふっと笑う声が、少し私の気持ちを復活させていくよう…。
静かだけど根っから優しい弥恵さんの瞳が私の体温も上げてくれるよう。
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