溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
父の事に気持ちはひきずったままだけど、私が驚いた疑問もそのままだったと思い出した。

今弥恵さんも言ったけど、どうして濠と有二ぱぱは弥恵さんに会いに行ったんだろ…。

私に何も言わずに…。
確かに二人で連絡を取り合って飲みに行く機会も多いけれど、弥恵さんに会いに行くなんて微妙な行動を私に内緒でするなんて信じられない。

私にとっては亡き父に繋がる大切な人である弥恵さん。
その弥恵さんにどんな理由で会いに来たんだろう。
というよりも、どうして弥恵さんの事を知っているんだろう。
母さんと弥恵さんには細くはない繋がりがあったらしいから…そこからの展開なんだろうか…?

「濠くんと有二さんは、私を輪の中に入れてくれる為に来てくれたの。

私は一人きりじゃないって教えに来てくれたのよ」

少しのためらい…照れ…そして嬉しさを隠したくても隠せないように出てくる言葉が私に投げ掛けられるけれど…。

「輪…ですか?」

「そう…私にもその中で人生を楽しむ事をすすめてくれて…」

「えっと…」

何を言っているんだろう。
私が聞きたい事に関係ないと思うけれど、弥恵さんだってふざけている風には見えない。
じっと優しく私を見ながら嬉しそうに…。

「弥恵さん…?」

「これに…署名をして欲しいって言われたの」

弥恵さんは、傍らの椅子に置かれていた鞄から大切そうに取り出された物を広げて見せた。

何だろ…。
視線を落とすと…。

「え…?これ」

「…そうよね。突然だもんびっくりするわよね」

半分からかい気味な声が聞こえるけれど、どこか遠くから聞こえるようで
心拍だけががんがんと跳ね上がってくる。

今目の前に広げられているのは

『婚姻届』

< 155 / 341 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop