溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
離れ離れに過ごした五年間も、意識の真ん中に私を置いて過ごしてくれたと照れくさそうに笑ってたのは、再会した直後。

単純に私を求めてくれて愛してくれて…待ってくれていたんだ…。

濠から向けられる表情や言葉が甘かったせいもあって、舞い上がってしまった。

愛されている。

体中にあふれる幸せに震えながら噛み締めるのは愛されている喜び。

だったのに。

私の心臓の音に安心感を覚えながら眠る濠に気付くと同時に崩れていく純粋な喜び。

鼓動を捉えながら眠りにつき、鼓動によって目覚める朝。

欠かさず繰り返す同じ様子には、何かを求めている重い感情すら感じてしまった。

いつもいつも私の体を抱きしめて心臓の音とともに…夜を過ごすなんて普通じゃない。

『安心するんだ…』

どうして…と、かなり前に思い切って聞いた答えは私が予想していたものを裏切らなかった。

知らず知らずに私の中に出ていた答え。

『安心する』と紙一重にある言葉は『罪悪感』だと解釈して。

濠がずっと背負っている後ろ向きな感情が私の想像以上に大きいって理解してしまった。

すとん。

思わず座り込みたくなるようにうちのめされた私自身。

それまで愛情のみで繋がっているって…私の今だけを見て抱きしめてくれてるって…。

そんな確証のない自信は瞬時に砕けた。

心臓の発作を誘発したのは自分のせいだと思う罪悪感から私の側にいてくれるんだ…と、本当はそんな事思いたくないのに暗く考えてしまう。

私を好きだと思ってくれる気持ちも嘘じゃないだろうけど、罪悪感が混じり合う愛情だと思えて仕方ない。

今も、光を通すカーテンに遮られることなく照らす朝日を浴びて私の鼓動の上で眠る濠を見ていると切なくて涙が出る。

どんなに罪悪感による愛情だと自分に言い聞かせても、もう離れられないくらいに濠に縛り付けられたのに。

この先泣くことばかりだとしても、もうこの指輪を外すなんてできないのに。

左手に輝く婚約指輪は、私の沈んだ気持ちをほぐすようにキラキラ輝いている。

…とにかく。
結婚するって決めたし、他に望む事はないんだ…。
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