溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
ここまで濠が私から離れないのは久しぶりだと思う。
二人でいる時には体温の感じる距離にいるのが当たり前になっていて、私への想いを隠さずに近くにいる濠を普通に受け入れていた…けれど。
そういえば、こんなに私を抱きしめたり甘い吐息を感じさせ続けるまで離れないのは…久しぶり。
珍しい…じゃなくて久しぶり。
極端に私に触れなくなったわけじゃなくて、私が不安に感じるなんてないくらいに…ほんの少しだけ私との距離があったのかなって気付く。
濠から抱き寄せられる度に安心しながら抱き返していた私は、自分から濠に近づく事はあっても、必要以上に甘えられなかった…。
不自然に思わない程度の濠の変化があった事に今気付いてしまった。
久しぶりに染みる濠からの溢れる熱と愛情に飢えていたって…ようやく気づいた。
落とされる唇の温かさだって、毎日感じるくらいの頻度で受け止めていたのに、今体を満たすのはただの温かさじゃない。
何かが抜けて、直接私に触れてくる感情がゆっくりと揺らす…。
本当なら、毎日味わうべきものだった濠からの想いを密に注がれる久しぶりの愛情が、私にはたまらなく切ない。
そっと視線を濠に向けると、単純に私に向ける優しい濠の視線と絡み合う。真っすぐ遠慮のない強い視線が私を射るこの状況も久しぶりに思える…。
そういえば、濠と再会してからの10年は、この身動きが取れない視線にとらえられて過ごしていたのに…。
私の気持ちも行動も濠のテリトリーから外れるなんてなくて、何をするにもまず初めに濠にどう思われるんだろう、濠に嫌な想いをさせないかなぁとか…考えながら自分の生活をこなしていた。
たとえ会社の同僚達との飲み会だって、内緒で行くなんてしなかった。
後ろめたさなんて全くない飲み会でも、濠にしてみれば気になる以外に何もなくて、行かずに済むなら行くな…と言っては拗ねたりもしてた…。
周りから見てる人にしたら、長く付き合ってるのにどうしてそんなに濠が私を束縛するのか謎だったらしいけれど、濠が私を解放しない毎日が私には慣れて当たり前だった。
それなのに。
濠に何も言わずにコンクールに参加して。
引っ越しでさえ内緒。
異動の事も…。