溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
「本当は心臓が悪かったのに、言わなかっただろ?」

首を傾げる濠の瞳は相変わらず揺れていて、普段思い出したくない事を、気持ちの奥から無理矢理取り出すよう。

「一番言って欲しかった…一番大切な事を、透子は言わなかったから。
俺の目の前で倒れてようやく俺は知ったんだ。

透子を少しずつ知っていって、好きになっていく途中で引き離されて。

透子の全てを知っていれば、体の事も病院以外の生活の事も…全て知っていれば、離れる事のない違う過去になったのかと思ってたんだ。

だから、透子を縛ってなにもかもを俺の手の中に閉じ込めてたんだ」

「濠…私…秘密にしてた…んだけど…でも…」

思いがけない濠の告白が、私にはかなりの衝撃でどう答えていいのかわからない。
意味のない言葉しか口から出なくて…慌ててる。
濠が私達の過去にそんな気持ちを抱えていたなんて思わなかったから、嬉しい想いと…違うって言いたい想いが交互にやってくる。

「透子が俺に秘密にしてる事を知りたかったから、しばらくは様子をみようと思ってたんだ。
それまでみたいに何でも俺にわかるような生活をさせるんじゃなくて、俺の手の届く範囲で自由にさせようってな…」

そう言って、ゆっくりと私を抱き寄せた。

「透子が秘密にしようって思うくらいだから、重い事なんだろうって覚悟してたし、簡単にはわからないんだろうって思ってたよ。

ただ、最後には他人から聞かされて知ってしまったんだけどな…」

「他人…?」

「そう。…近くて優しい他人。
相模さんや彩香ちゃん」

「え…?」

「そうだな…他人っていうのは違うけど、弥恵さんも…だな」

濠から体を離して見上げると、笑って面白そうにしてる…それでもまだ少し切なそうな視線とぶつかった。

「透子を手放さないってのは決めてたけど、どうして透子が俺に何も言わないのか…。
隠してる中身は知ったけど…父親の事…コンクールの事…異動と引っ越しの事…。

それはわかったけど、透子が隠した本当の理由はわからないんだ…」

「…」

私にだってわからない事だらけ。相模さんや彩香ちゃん…弥恵さん…の事もわからないし濠がどうしてこの一週間にあんな宿題を置いていったのか…。
それでも、今は。

「理由は…濠が好きだから」

としか言えなかった。


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