溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
私の心細い言葉に、濠は一瞬目を細めて辛そうな顔をした。

「透子には、自分の体が回復して、未来へ向かう権利も選ぶ自由もあるだろ。
心臓にハンディを抱えてたけど、今はもうどんな夢も叶えられるっていう医者からの太鼓判もある。
…手術っていう大きな壁を乗り越えたからな…」

「…濠…?」

それまで思い出すような軽い口調で話す濠だったけれど、一拍呼吸を置いて私の目をじっと見つめた…重くて秘めた何かを映す瞳で。

「俺にはその保証がないんだ。俺の未来に透子を引きずりこめる保証が」

「保証って何?濠…一体何を言ってるの…私が聞きたいのは…」

そう、とにかく聞きたいのはどうしてお見合いを受けたのか…だし私との結婚についてだし…。
一体濠の真意がどこにあるのかわからない。

「私…濠がお見合いを受けたって聞いて…すごくショックで…やっぱり私への愛は罪悪感からなのか…とか悩んだし…それでも好きだし…」

濠の腕を掴んで思わず飛び出す言葉に、自分でも驚くけど、とくとくと流れる熱い想いが体から飛び出すままに止まらない。

「雪美さんが濠に告白してるのを見ただけでも悲しかったのに…お見合いの事も雪美さんの口から聞いて…。

私がどれだけ苦しんだか…」

う…っ。
堪え切れずに溢れる涙が今にも瞳からこぼれそうだけど、ぐっと我慢して…それでも濠の顔が段々ぼやけてくる。
じわじわと熱くなる瞳の奥から沸き上がるものはきっと、今まで抑えてきた私の負の感情。
表に出す事ができなかった濠への強くて醜くもある感情。

「雪美さんがいつも濠の側にいるのも不安だし、私よりも雪美さんの方が好きになったらどうしようもないし…罪悪感からくる愛情なんて…いつかは崩れてしまうし…。
…私が嫌になったから、お見合いしたの?」

一気に出た想いの激しさに、自分でも驚いてしまう。
途中息もせずにいたせいか、思わず肩で息をして…。
それでも、濠の視線をとらえたまま離すことなく必死で…今にも倒れるくらいに心臓をばくばく跳ねさせながら、じっと濠からの答えを待った。

「ぷっ…ひどい顔」

そう言って私の頬を伝う涙を…手の甲で拭いながら、濠は小さく笑った。
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