溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
『本社のエリートコースにのっちゃっただけでなく、大賞を受賞したので業界全体の才能として扱われる事になります…今までとは違うポジションで仕事をするし。
しばらくマスコミにも登場する機会も増えると思います』

彩香ちゃんから聞かされた言葉の全てに驚いて何も言えなかった。

もともと透子がどんな仕事をしているのか具体的に知らなかったし知ろうともしなかった。
何をしてようが、何を考えていようが透子は透子でしかなくて、俺の腕の中で幸せそうに笑っている時間が全て。

透子が持つ他の時間も感情も関係ない。
愛する透子が俺に向ける
優しい視線と、離れたくないとでもいうようにしがみつく腕の強さにしか興味がなかった。

…けれど。

当たり前の事だけれど。

俺が関わらない透子の過ごす時間が確かにあって。
その時間は決して少ないわけではなくて。

これからの透子の未来を形作るには十分なもので。

それに気づかなかった俺には、もう透子がこの腕の中に戻るつもりはないんじゃないかと落ち込む要素満載。

変わりつつある透子の真意を正確に汲み取って、俺の気持ちを返していかないと…とんでもなく悲しい結果が待つように思えてならない。

「はぁ…。くそっ」

ソファにもたれてため息をつき…。
透子を残してフランスへの出張に行く事への不安と闘っていた…。


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