溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
落ち着かない気持ちのまま透子の部屋を見ると、今まで気づかなかった変化が見えて更に落ち込んでいく。

好きだと言って揃えられていたガラス細工の置物達は、全てカウンターから消えていて、寝室のクローゼットを開けると、段ボールに詰められている洋服…。

冷蔵庫の中もほとんど何も残っていない。

「なんでだ…?」

引っ越す事が現実だと受け入れるしかないと、ただそれだけが頭の中に溢れてくる。

透子と出会ってからは15年。

傍らに透子が寄り添うようになってからは10年が経って、初めて感じる二人の不安定な関係。

俺の物を入れてあるクローゼットを開けると、そこにはいつもと変わらずに収納されている、決して少なくはない洋服…。

片付けられていない事を知って、それでも変わらない現実をわかってはいても、ほんの少しホッとする。

なかなか気持ちを浮上させられないまま寝室を出ようとした時、透子のドレッサーの上に置かれているハガキに気づいた。

何気なく、手に取ると。

去年の年末の消印。

差出人は『小山内弥恵』
となっていた。

誰だ…?

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