溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
「…おめでとうございます。…透子ちゃん」
私の前に立った仁科さんは、にっこりと笑って…何か含みをもたせたような声で握手を求めてきた。
あぁ…やっぱり葵さんに似てる。
相模さんの奥様と双子の仁科透さんは、何度か会った事のある葵さんと似ていて、どこかホッとする。
学生の頃から、その才能が秀でていた仁科さんはクールに構える態度と整った容姿故に反感をかう事もたびたびあったと聞くけれど、実際に会うと誠実そうな表情と深みのある視線が魅力的。
人として地に足がついているような穏やかささえ感じる。
揺るぎない自信のような…生きていく上で大切な物は何かをちゃんとわかってるような。
そんな雰囲気はどことなく濠にも通じるところもある。
だからかな。
初めてちゃんと言葉を交わすのに違いないのに、近い距離感を感じるのは。
「今のおめでとうは大賞のお祝いだからね。
やっぱり今日はその授賞式だから」
くすくすと笑う仁科さんは、ぐっと温かく私の手を握ってくれた。
「で、結婚もおめでとう。透子ちゃん」
続けざまに私を『透子ちゃん』と呼ばれて、違和感と照れくささを感じる。まともに言葉を交わすのは、きっと今日が初めてに近いはずなのに、親しくそう呼びかけられるのって不自然なような。
相模さんですらそう呼ぶ事は滅多にないのに。
そんな私の訝しがる想いに気づいたのか、
「悪い。…なんだかずっと前からの知り合いみたいな気になってた。
…まぁ、ずっと前から知ってたんだけど」
「…え…?」
「あ…。
驚いてるよな。俺が勝手に知ってるだけだしな。透子ちゃんなんて馴れ馴れしいし」
少し早口で、慌てる仁科さんの言ってる意味かよくつかめない。
私の事、前から知ってるみたいだけど。
「俺は…俺と葵だけど、小さい頃から小山内さんに可愛がってもらってたんだ。
両親を亡くしてる俺らを気にかけてくれて…まるで本当の子供みたいに」
「そう…なんですか」
「俺らを引き取ってくれた市橋のおじさんおばさんの設計事務所で働いてた小山内さんは、いつも透子ちゃんの事話してくれてた」
「…」
「小山内さんは、俺の名前呼ぶ度に透子ちゃんを思い出してたよ」
私の前に立った仁科さんは、にっこりと笑って…何か含みをもたせたような声で握手を求めてきた。
あぁ…やっぱり葵さんに似てる。
相模さんの奥様と双子の仁科透さんは、何度か会った事のある葵さんと似ていて、どこかホッとする。
学生の頃から、その才能が秀でていた仁科さんはクールに構える態度と整った容姿故に反感をかう事もたびたびあったと聞くけれど、実際に会うと誠実そうな表情と深みのある視線が魅力的。
人として地に足がついているような穏やかささえ感じる。
揺るぎない自信のような…生きていく上で大切な物は何かをちゃんとわかってるような。
そんな雰囲気はどことなく濠にも通じるところもある。
だからかな。
初めてちゃんと言葉を交わすのに違いないのに、近い距離感を感じるのは。
「今のおめでとうは大賞のお祝いだからね。
やっぱり今日はその授賞式だから」
くすくすと笑う仁科さんは、ぐっと温かく私の手を握ってくれた。
「で、結婚もおめでとう。透子ちゃん」
続けざまに私を『透子ちゃん』と呼ばれて、違和感と照れくささを感じる。まともに言葉を交わすのは、きっと今日が初めてに近いはずなのに、親しくそう呼びかけられるのって不自然なような。
相模さんですらそう呼ぶ事は滅多にないのに。
そんな私の訝しがる想いに気づいたのか、
「悪い。…なんだかずっと前からの知り合いみたいな気になってた。
…まぁ、ずっと前から知ってたんだけど」
「…え…?」
「あ…。
驚いてるよな。俺が勝手に知ってるだけだしな。透子ちゃんなんて馴れ馴れしいし」
少し早口で、慌てる仁科さんの言ってる意味かよくつかめない。
私の事、前から知ってるみたいだけど。
「俺は…俺と葵だけど、小さい頃から小山内さんに可愛がってもらってたんだ。
両親を亡くしてる俺らを気にかけてくれて…まるで本当の子供みたいに」
「そう…なんですか」
「俺らを引き取ってくれた市橋のおじさんおばさんの設計事務所で働いてた小山内さんは、いつも透子ちゃんの事話してくれてた」
「…」
「小山内さんは、俺の名前呼ぶ度に透子ちゃんを思い出してたよ」