溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
「織田…いや、真田透子です」
相模さんが紹介してくれたのは協会長の大沢さん。
細身で背が高い60歳くらいの男性。
ほどよくしわが刻まれた温和な顔は優しそうで、緊張感も治まっていく。
「こんにちは。真田透子です。今回は名誉な賞をいただきましてありがとうございます」
深く頭を下げて挨拶をすると。
目を細める大沢さん。
「やっぱり面影があるな。…小山内さんに似てるよ」
「え…?」
「あ…僕は小山内さんの大学の後輩で、いい事も悪い事も教わったよ」
はは…と笑いながら何かを懐かしそうに思い出しながら私を見つめると、私の後ろに立つ濠に気付いて首を傾げた。
「透子の夫の真田濠です。今回はありがとうございます」
濠が挨拶をしてくれるのを見ながら、思いがけず気持ちが温かくなる。
夫…。
そう言ってくれる濠に嬉しくなる。
「真田くんはアマザンで働いていて、この授賞式の責任者なんです。
毎年お世話になっているんですが、今回は奥さんの授賞式で…格別な想いがあるみたいですよ」
相模さんの言葉に、大沢さんは頷くと
「最近結婚したんだってね。おめでとう。
大賞も受賞したしめでたい事が続くね…。
小山内さんも、きっと喜んでるよ」
「…」
度々出てくる父の名前にいちいち心は反応している。
この場にいるから当たり前だけど、父を知る人に出会うのにはまだ慣れない。
「…親子二代で大賞受賞だけど。
それは我々審査員には何も関係ないから。
受賞が決まってから知った事だし、自分の実力で勝ちとったんだから自信を持ってやってくれよ。
ま…しばらくは何も考えられないくらいに忙しくなるけどな」
「あ…はい」
「旦那さんには申し訳ないが、しばらくは奥さんの時間は仕事に回してもらうから…」
大沢さんと相模さんの二人は、同じ表情で濠に告げた。
申し訳なさそうだし、遠慮もあるけど、どこか断固とした決意もあって。
私の今後の話をしているのに、私自身何も言えなくて…濠を見上げると、硬い表情をしていた。