溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
「濠…?」

ちらりと上目遣いで濠を見ると、目の前に濠の悲しげな顔があった。
整った顔が照れ臭くて、いつもなら目を合わせるなんて恥ずかしくてできないけれど。

その沈んだ瞳が寂しくて目をそらせない。

…どうして?
いつも余裕で私を包み込んで離さないのが当たり前って…。
何もかもを濠の思うままに私にも。

それなのに。

「俺は、透子でいっぱいいっぱいなんだけど。
疑う余地ないだろ」

そう言う声音も弱くて。
私の不安は少し現実味を帯びてくる…。
濠の中に、いつもは抱えていない後ろ向きな感情があるように聞こえる。
その感情の中心にいるのは…信じたくないけれど
彼女の存在なのかな…?

「…雪美さん…。
フランスに一緒に行くんでしょ?」

くぐもった声でようやく聞いた私の言葉に、濠の身体が不意に強張ったのがわかる。

「ああ。今回の出張には同期6人が参加だからな。雪美もメンバーに入ってる」

「そうなんだ…」

「…透子?
もしかして、雪美と俺になんかあるって思ってる?」

濠にしがみついていた身体をそっと剥がされて、額を合わせるように近づく濠の額…。

「濠…」

「俺には透子以外誰もいない。
透子にまた会えてからずっと…透子以外に気持ちを揺らした事はない」

吐息とともに伝えられる濠の想い。
切なく暗い瞳には光はなくて、私への単なる愛情以外の戸惑いと悩みが感じられて。

私のせい…?
雪美さんじゃなくたって…私以外にも愛する恋人を見つける選択肢があったはずの人生を…私に縛られたままに生きている今を後悔してる…?

ねぇ、濠…。

後悔してる?
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