溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
その晩は、私の気持ちを穏やかにするように。
優しく抱いてくれた。
身体中に咲いた赤い花は、一緒にいられない出張中の安心材料らしく。
一つ一つ丁寧に愛情を染み込ませるように痛みを落としてくれた証。
そして、いつものように
私の左胸に頭をのせたままきつく私に腕を回して眠る濠…。
私の鼓動の音を聞かないと熟睡できないと笑う濠の言葉を初めて聞いたのは大学時代。
偶然の再会からすぐのことだったと思う。
しっかりと『とくとく』
って刻む心臓の動きを直接感じるとホッとするらしい。
今も定期的な検査は受けているけれど、日常生活への支障はない。
妊娠出産も大丈夫だと太鼓判を押されているくらいに私の心臓は良好なのに、濠にはまだ、入院中に初めて会った頃の私が見え隠れしているのかもしれない。
決していいとは言えない出会い方をした私達。
高校三年生の濠は原因不明の難聴になって入院していた。
朝起きたら突然来聞こえにくい状態で、検査や治療を繰り返してもなかなか聴力が戻らない。
不安といらいらが最高潮になっていた。
医者や看護士の人に当たり散らしていた濠は病院内でも有名だった。
進学校に通う濠は大学受験に向かって勉強に励む 日々で、いつまで入院すればいいのかも、果たして聴力はもどるのかもわからない状態が、どんどん彼自身を追い詰めて。
元々持っていた優しさが消えていって。
うまく話せない苛立ちが更に彼を荒々しい男の子に変えていた。