狼に近付いた兎
「あの、では、私、失礼します。」

男がそばにいるだけでも嫌なのに、どうして話してるのよ、あたし。


ハッと気がつくと、いちかはそそくさと立ち去ろうとする。

誰か女の子…。



「どこ行ってもいいけど、いちかちゃん。うちのクラス、女の子、いちかちゃんだけだよ。」



「え?」

「ホントは、もう何人かいるみたいだけど…、一人は留学してて、一人は中学から不登校らしいよ。」



だから、ただでさえ少ない女子が、いないみたいだね〜。



追い討ちをかけるかのような矢田 すばるの話。



「…。」

「何?」




「あたし、クラス替えする!!」
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