Parting tears ~another story~
第十四話 別れに向かって
 あの時の俺は、幸せな気分で獅子座流星群を見た帰り道、突然奈落の底へ突き落とされるなんて想像もしなかった――。

 突然一人の男が結麻に声をかけてきたのだった。

 振り返るとそこには猫背で体格のいい、俺から見ても不細工な男が息を切らしている。
 俺は、すぐに美久から聞いた話しが思い浮かんだ。やはりこの男が結麻を好きな先輩で、俺に隠れて二人で会っていたのだろうか。

 必死で冷静さを保とうとしながらも、頭の中は結麻に対しての疑惑で一杯だった。

 二人きりで公園に着いた時、俺は優しい云い方なんてする余裕もなく、浮気を疑ったような言葉ばかり投げつけていた。結麻は否定していたけれど、俺が何度も問うと結麻は最終的に「そうだよ」と認めた……。

 最後まで違うと云って欲しかったのに――。
 違うと云って欲しくて何度も何度も疑うようなことを云ったのに。どうして、どうして認めるんだよ。

 それから、俺は狂ったように結麻を責め続けた。結麻が悲しそうな顔をしているけれど、俺の頭の中には美久の言葉が繰り返され、そんな自分を止められなかった。

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