幸福論
「せんせー。」
「なんだ。」
「あたし、嘘つく人嫌い。」
清浦は、俺を見なかった。
見ないまま、笑った。
「補習、やめるー?」
清浦は笑っていた。
かきあげた髪の隙間から、微笑む口元が見えた。
「え、なんで。」
「先生もさ、かったるいでしょ。
うちの担任にはさ、あたしがさぼったって言っとけばいーよ。」
どこかの生徒のはしゃぐ声が聞こえる。
放課後のおしゃべりに、花を咲かせているのだろう。
「補習、やめたいのはお前なんじゃないのか?」
清浦は、やっと、俺を見た。
「どうして?」
「嫌いだろ、補習。」
「嫌いじゃないですよ。」
彼女は、静かに話す。
「だって、どの先生も、嫌いな生徒には、補習なんかやんないでしょ?」
ああ、確かに。
「ねえ、桂木先生。どうする?」
「なんだ。」
「あたし、嘘つく人嫌い。」
清浦は、俺を見なかった。
見ないまま、笑った。
「補習、やめるー?」
清浦は笑っていた。
かきあげた髪の隙間から、微笑む口元が見えた。
「え、なんで。」
「先生もさ、かったるいでしょ。
うちの担任にはさ、あたしがさぼったって言っとけばいーよ。」
どこかの生徒のはしゃぐ声が聞こえる。
放課後のおしゃべりに、花を咲かせているのだろう。
「補習、やめたいのはお前なんじゃないのか?」
清浦は、やっと、俺を見た。
「どうして?」
「嫌いだろ、補習。」
「嫌いじゃないですよ。」
彼女は、静かに話す。
「だって、どの先生も、嫌いな生徒には、補習なんかやんないでしょ?」
ああ、確かに。
「ねえ、桂木先生。どうする?」