蜜林檎 *Ⅱ*
「ライブに慣れることは
 まず無いよ
 聞き手の反応とかもその場所
 場所で全く違うからステージ
 に立ってからのお楽しみ」

そう言って、少年のように
樹は笑う。
  
「いってらっしゃい」

真っ暗な世界、杏はただ一点を
見つめている。
 
ライトが瞬き、ステージが
浮き上がる。
  
そこに広がる世界は異国の廃墟
と化した世界。
  
青いライトが降り注ぐ中に
現れるのは、英雄なのか
それとも・・・悪。
  
メンバーが現れ、会場は
興奮の渦に飲み込まれる。
  
歓声が沸き立つ中、樹が現れた

杏の瞳に映る樹の姿は、その曲
その曲で変化する。

彼は、時に英雄でもあり
悪でもある。
  
そして、ただ愛する人を守る為
に立ち上がった名もなき戦士
でもある。
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