修羅と荊の道を行け
ロマンチックな雰囲気とは縁のない話しをしていると、さっきのばあちゃんがお茶を持って来てくれた。

「お待たせしました。甘いものはお好きですか?」

「はい」

「ここの羊羹は、咲耶お嬢さんが大好きなんですよ」

「そうなんですか?」

「甘いものが大好きで、でも歯医者は嫌いだから食べた後は、一生懸命歯を磨いてましたよ」

「ハルさん、もう良いから」

「はいはい」


顔を真っ赤にした咲耶にハルさんは笑いながら出て行った。

「さすがの咲耶も歯医者は苦手だったか」

「小さい頃はね。治療中、助手さんの腕にしがみついてたくらいに」

「へぇ」

「浪川くんは?歯医者好きだった?」

「オレは奇跡的に虫歯はなかった。兄貴達が泣きわめている所を歯医者について行って、ずっと眺めてた」

「酷い弟」

「それしか兄貴の泣きっ面を見ることができなかったからな、末っ子の唯一の楽しみだったんだ」
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