修羅と荊の道を行け
「何でそんな他人行儀なんだよ」

頭をポンポンされた。

「そんなんじゃないですけど」

「じゃあ普通にしてくれ。こっちも緊張する」

「はい!」

「まぁ良いや。荷物積むな。すげぇ多いな」

「えっと、絵の道具も持って来たから」

「本当に絵を描くのが好きなんだな」

「本当は景色とか自然物を描いたりするのが一番好き」

「じゃあいっぱい描けるな」

爽やかに笑って荷物を持ってくれた。

「女の髪に触れる行為は、情欲の顕れ」

浪川くんがぼったりと荷物を落としてしまった。

「わりぃ!」

割れ物なんて入ってないから大丈夫だよと浪川くんに近づいた。

氷樹ちゃんが振袖姿で、玄関の前に立っていた。

着付け終わったんだ。髪も結って完璧。大和撫子になってる。

「図星?」

「あんたは新年から何を言うんだよ。てか、晴れ着で仁王立ちってどうよ」

「咲耶ちゃんの着た振袖。咲耶ちゃんの匂いに包まれているの」
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