ネバーランドへの片道切符
私が現実を見始めてから月日は経った。

相変わらずな関係は続いた。
だけど、私はちゃんと現実を見始めたせいで、抱かれるのが苦しいだけになってしまった。


だから、色々理由をつけて、勉強を教わる回数を減らして、彼となるべく会わないようにした。


だけど、関係をやめようとは言えなかった。


だって、私が彼にネバーランドの切符を渡したんだ。


その責任を果たすため、受験が終わるまでマユを演じてあげた。


あと私、彼に黙っていたんだけど、志望校を変えたの。


父親が、春、東北に単身赴任するコトが決まって、
なんにも出来ない父を母が心配していた。


だけど母も仕事があるし、他の姉妹も通っている学校がある。


だから春から大学生になる私が、父の面倒を引き受けたんだ。


偏差値が、私が目指していた大学より、レベルが下がったから、余裕で合格出来た。


高校を卒業したらすぐに東北に私と父は行く。
春からは、東北の国立大に通う。


彼を追いかけるためじゃなく、自分の目標に向かうために、私は大学に行く。


彼に挨拶はしないよ。
黙ってこのネバーランドを去る。
そして、この報われない関係を切る。


そして私が去ったら気づいて欲しい。


叶わない現実に夢を見ていないで、新たな人生を見つけて欲しい。


彼は私と同じだから、幸せになって貰いたいんだ。


少しの間、さようなら。私の愛しい人。
好きも、さようならも伝えない。


伝えたら、また泣いてしまうから。
私は器用な人間じゃないから。


時間が経ったら、セフレ関係のこと、何事もなくなって、また幼なじみに戻れるよね。


それまで、会わないよ。いや、あなたを超える素敵な人に会うまでは会わない。

今度会うときまでに、お互い、大人になってるよね。


それまで、さようなら。


そして私に、この感情をくれて……


――ありがとう。









情けない夢をみるのはもう飽きた end
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