どこかで誰かが…
その女性は、少し茶色いストレートの髪をしていた。


その後、S校にゴールを許すも、他のメンバーが1点を取り返し、К校の勝利を示すかのように、試合終了のホイッスルは鳴った。



「ねー!なんで?なんで佳菜子が帰るの?せっかく来たんだから、一緒に帰ればいーのに!」

「メール打ったから…」

「あの女達待ち伏せしてたじゃん!どっか行っちゃったらどーするの?!」

「…」

「佳菜子が彼女なんだよ!“あんたは浮気相手なんだ”って、ハッキリ分からせてやればいーんだよ!」

「あの子からしたら、私が浮気相手なんだよ、きっと。」

「そんな、」

「見てよ、今の私の格好!チームメイトに、どっちの方が自慢できる?」

「佳菜子…」

「このことは、清瀬には言わないでね。」

「!」

「恥ずかしいから。」


佳菜子は、大沢に気を遣っているのではなく、
自分が惨めで仕方がなかったのだ。


実はプライドの高い佳菜子の、積極的になれない理由はここにある。


傷付くのが怖い佳菜子は、
“気が強い”と見破った高木に、ほんの少し気を許すも、それ以上の気持ちには、自分でも気付かぬうちにブレーキをかけ、失恋の痛手から免れるために、大沢の気持ちに応えたのだった。


その結果、
“高木後遺症”が残ることになったのだが、

今となって、

大沢と拗れては、さらに後遺症が悪化しそうで…

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