どこかで誰かが…
共学のS校側には、制服姿の女子生徒が、やたらと目に付いた。


彼女なのか友達なのか?
はたまた、ただの追っかけか?


ただ一つ、皆、制服ながらにも、小綺麗にしているのがよくわかる。


K校側にも、応援というよりは、デート?と思わせる服装が多く見られ…

佳菜子とゆっこの汗臭さとは違う“芳しい香り”に、めまいすら覚える二人は、
完璧にアウェイな気分で、試合を見守ることとなった。


前半、無失点のまま後半に突入…

その直後、

大沢が放ったシュートがキーパーに跳ね返されるも、
勢いの付いたまま走り込んで行った大沢の前に、運良くボールがこぼれて転がり、
そこを大沢が自ら、体勢を崩しながらも足を伸ばして、こじ入れるようにして先制点を決めた!


「ウオーッ!」

「きゃ〜!大沢くーん!」

「あぁ〜!あぁ……」


やっと決まったゴールに、両チームから、それぞれの気持ちの歓声がわいている。


佳菜子もゆっこの手を握り、珍しく興奮していた、

その時…

「大沢くん、真奈美が来てるから張り切っちゃってんじゃないのぉ?!」

「えへへ、」

「それで決めちゃうところが凄いよね〜!」


斜め前にいる女子二人組の会話が耳に入ってきて、


「…え?」


思わず、顔を合わせる二人だった。

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