どこかで誰かが…
とりあえずゆっこは、二人を静かに見守ることに…


「やっぱS校は、なかなかのもんだなぁ。」


「相手がS校だって言ってたっけ?」

「れ?言わなかったっけ?」

「聞いてない。…ま、いーけど。」

「なんで?S校ってなんかあんの?」

「(そうきたか…)うちのバスケ部じゃ、S校なんて強豪校が相手にしてくんないから、さすがだなぁって思ってさ。」

「…だろ。」

「…S校が負けた時ね、なんか私、スカーッとしたよ!」

「だろ!絶対、俺、点取ってやりたくってさぁ!」


存在を忘れられているのか、佳菜子の顔に自分の顔を近付けては、おどける大沢を見て、ひとまず安心するゆっこ。


これで、大沢が清瀬から高木のこと聞いていることも判明した。



「キヨはまだ部活?」

「どーだろ?」

「メールしてみてよ。どっか行って飯食おーぜ。腹減っちった俺。」

「いーねー!」

「ゆっこちゃん、前から一緒に遊びたかったんだよね!」

「ほー、なんで?」

「だって、佳菜子が淋しいんじゃないかと思って。」

「?」

「彼氏と学校が違うから、皆に見せつけられるばっかりでさぁ!」

「そーなの?」

「え!…えー…(ゆっこちゃん!何言っちゃってんの〜!…って言うか、バレてた?)私、そんな目で見てる?」

< 104 / 433 >

この作品をシェア

pagetop