どこかで誰かが…
「ヤキモチはカワイイけど、口煩いのは勘弁してほしいよなぁ。」


そう言って立ち上がり、佳菜子の前まで歩き、

「その勘違い女のこと、佳菜子はなんとも思わなかったのかよ?」

と、ブランコの仕切りに腰掛けた大沢は、


「“自分のためにシュートを決めてくれた”って喜んでる他人に、“違いますよ”なんて言えるワケないでしょ!」

「やっぱ、ムカついた?」

「って言うよりビックリして…」


そんな佳菜子の言葉に、

「あー、ごめんごめん!」と、

大きく踏み出した片足と一緒に伸ばした手で、ブランコに座る佳菜子の腕を掴むと、磁石のように引き寄せ…


「なに?」

「嫌な思いさせたから。」

「え?」


包み込むように佳菜子を抱きしめる。


その腕は、佳菜子が思っている以上に力強く…


「キスしていい?」

「!」


大沢が力を緩めると、自然に体が少しだけ離れたのにもかかわらず、
佳菜子の顔を覗き込むように、
大沢の顔が、ゆっくりと近づいてきた。

が、

その唇は、とっさに俯いた佳菜子の左頬に触れ…


「俺、唇が良かったんだけどなぁ…」

と、硬直している佳菜子の両手を握ったまま、ガックリした様子で、再び仕切りに腰を下ろした。

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