どこかで誰かが…
その繋いだ手をブラブラさせながら、

「ダメ?」と、

甘えた瞳で見上げるその仕草は、
餌を前に、主人の“良し”の合図を待つ小犬のように愛らしく…


「でも…」


佳菜子は困って、きゅっと口を尖らせた。


その瞬間!


少しだけ、腰を上げた大沢の唇が、
佳菜子の唇めがけて重なった。


「へ〜!しちゃったもんね〜!」


あまりにも一瞬すぎて、何が起こったのか分からないといった表情の佳菜子。


「こんな感じだよ!」

「…」

「わからなかった?」

「う…ん…」

「だからー!」


すると今度は、繋いだ佳菜子の両手を引っ張り、
自分は腰掛けたまま、佳菜子に軽く屈ませた格好でキスをしてみせた。


離れようとする佳菜子は、大きい手で後頭部を押さえつけられ…

ファーストキスを大沢に捧げることとなった。

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