どこかで誰かが…
「処女じゃないことがショック?永遠の処女でいてほしかった?じゃあ、初めてだったあたしは何なの?!」

「やめろ。」

「!まさか、佳菜子のはじめてが大沢くんだったのが許せないんじゃ」

「やめろって!!」

「!」

「…帰るわ俺。」

「ごめん、言いすぎた!ごめん!」


引き止める、ゆっこの手を振り払い、どんどんと歩いていく清瀬。


そのまま小さくなっていく後ろ姿を、ただ見送るだけのゆっこは、足がすくんで追いかけられずにいた。


普段からクールなイメージの清瀬だが、昔を知る者から聞く、もう一つの清瀬の顔…

学校の前で、大沢に凄んだ清瀬を見た時、佳菜子には悪いが、ますます夢中になっていく自分がいた。


それまでの自分が、そんな態度をとられたことが無かったため、怒って背を向ける清瀬に、どう対処をしたら良いのかが分からず、

それ以上しつこく食い下がることが、単純に怖くてできなかった。


キレられたらどうしよう。
嫌われたらどうしよう。


そんな気持ちが交錯したのだ。


この夏、二人の関係に親密度が増したことで、ゆっこは、さらに清瀬の虜となっていった。


自分がこんなにも、恋愛にのめり込む性質だとは、思ってもみなかったゆっこ。


若さゆえに、独占欲にかられ
若さゆえに、上手く表現できない気持ちと、その結果に
つい意地を張り、強がってしまうのだった。

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