どこかで誰かが…
佳菜子からのメールが気になっていたゆっこは、ゆっくりと教室の前を通り、何気なく中を覗いてみる。


メールのとおり、そこに佳菜子の姿は無く…

すると、何かを思い出したかのように、突然、早足で歩きだした。


そして、階段を駈け上るゆっこ。

そう、

清瀬に、告白をさせてしまった、あの日のことを思い出したのだ。


最上階に辿り着き、扉の前に立ち止まると、息を潜め、少しだけ開けた扉から屋上を覗き込む。


その隙間から、佳菜子の姿が小さく見えた。


周りをくまなく見渡しても、清瀬の気配はない。


ひとまずホッとしたゆっこは、そのまま階段を降りはじめるのだった。


踊り場を折り返した時、

「あ…」


安心したのも束の間、
そこに清瀬を見つけ…

言葉が出ないどころか、
一度安心した分、突き落とされたような脱力感がゆっこを襲う。


そんなこととも知らず、

「あいつ、居た?」

無神経にも程がある清瀬に、もう、爆発寸前だったが、

「そんなに心配?」

自分の言い分を、しっかり伝えなくてはと、必死に気持ちを抑えて聞いた。

すると、

「あーゆー奴だしな。」

その言葉に、

“もう、どーでもいーや…”

ゆっこの中の何かが切れた気がした。

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