どこかで誰かが…
「おまえが行くのが見えたからだよ!」

「…え?」


しばらくの間、ゆっこは黙って、下の段から清瀬を見あげた。


「な、なんだよ?」


その様子にたじろぐ清瀬に向かい、ゆっくりと階段を上っていく。


「そんなにいつも、あたしのこと見てるの?」

「…」


そして、清瀬の正面に立ち、

「それはさ…つまり…おまえには俺がいるだろう、とでも言いたいわけ?」

なぜか、無表情で問いかける。


「なんだよ、コエ〜な〜」

「どうなの!?」

「…まあ…そんな感じ?」


すると突然、ニコッと笑い出し…

「なーんだ!そーゆーことなら早く言ってよね〜!」

と、清瀬の肩を思いきりバチンと叩いてみせた。


「イッテ〜!」

「当たり前でしょ!あたしの胸の痛みは、こんなもんじゃなかったんだからね!」


そう言って、清瀬の胸に額をあてては、嬉しさと照れくささで歪む顔を隠す…

そんなゆっこの頭を、優しく撫でながら、

「アイツとおまえは違うよ。」


つぶやくような清瀬の言葉を、
ゆっこは聞き逃しはしなかった。

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