どこかで誰かが…
そしてついに、片桐が堀口家を訪れる日がやってきた。


「片桐大地さんです。」

「佳菜子さんと、お付き合いさせてもらってます。」

「まぁ〜わざわざどーも。」

「どうしても、きちんと挨拶したいって言うからね…」

「はい。来ちゃいました。」


母との会話のやりとりを助言する佳菜子の、その視線はというと…

「あのさ、断ることも学んだらどうなの。」


母親の隣に並ぶ清瀬の姿を、穴が開きそうなほど睨みつけていた。


「違うのよ佳菜ちゃん。どうしてもって、お母さんが頼んだの。だって、まだ父親が出てくる場面じゃないでしょ?」

「…」

言葉の出ない佳菜子を横目に、

「その通りです。お構い無く。」

バイトで極めた笑顔を振る舞う片桐。


どちらかと言うと、母親よりも、清瀬の位置づけが気になる片桐は、

「彼は?」

分かっているだろうに、わざと質問してみせる。


「あ、清瀬和巳くん。」

「ども。」

「どうも、片桐です。」

「母親同士が仲良くてね…」

「うちの息子みたいに思ってるのよ。」

「ちょっ!お母さん!」

「じゃあ、ぜひ僕も仲良くなりたいなぁ。」

「…(挫けないなぁ)」

「宜しくね、キヨスクン。」

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