どこかで誰かが…
言葉で気持ちを確認できたように思えた二人。

それなのに、
クルマは、何も無かったように、そのまま走り続けている。


信号が赤に変わり、前のクルマと距離をとって、ゆっくりとブレーキを踏む片桐。


「ふーっ」

ひとつ、大きなため息を吐くと、サイドブレーキを引き、
その手を、助手席の背もたれに回した。


すると、ゆっくりと身体が寄ってくるのが分かり、

「!」

佳菜子の視界は片桐の顔によって塞さがれた。


そっと重なる唇は、
離れる間際、心惜しむかのように優しく吸い付き…


「次の信号でもしよっか?!」

「安全運転でお願いします。」


そう言いながらも、少しだけ期待している……?


二人きりの夜の車内は、静まる事がイケナイコトのように思えてしまい、
なんとか話を繋げようと、必死に話題を探す佳菜子だった。


それなのに、片桐はというと、
運転があるもんで、それほど気にしてはおらず…


「やべっ!」

「どうした?」

「睡魔が…」

「そーだよね!疲れてるよね!」

「高梨くんに運転変わってもらってる間も、俺、結局眠れなくてさ!」

「そーだったの?」

「なんか、気ぃ遣っちゃって…」

「へー。そうは見えないけど。」

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