どこかで誰かが…
清瀬和巳のエピソード
大学3年になった清瀬は、

学部の気の合う仲間とのつきあいや、
高校の時の友達、特に元サッカー部の連中と、随分前にフットサルチームを結成して交流の場を広めたり

まあ、それなりに勉強して、学生らしい生活を送っていた。


ここしばらくは、“ときめき”なんて言葉からも遠ざかっていて、決して華やかとは言えない日々を過ごしていたのだが、

つい最近、家庭教師のバイトを始め…


「なに!それって女の子?まさか女子高生?!」

「中坊だよ!」

「な〜んだ。」


その日も、片桐のバイト先に一人で立ち寄り、カウンターで喉を潤していた。


「片桐くん、女子高生に対する反応が、もうすっかりオヤジだったよ。」

「ばか、おまえのこと心配してんだよ。警察送りにでもなったら、お先真っ暗じゃん。」

「女の子には当たらないようにしてるから、大丈夫。」

「!なぜに?」

「色々聞いてて、めんどくさそーだから。」

「カテキョね…俺も一回やったことあんだけどさ」

「お、初耳。」

「俺よりデキの良い子で参ったよ。おかげですっかり自信なくしてさぁ、それが最初で最後。」

「…ある意味良かったんじゃね?己を知ることができて。」

「オイオイオイ。んなこと言って、おまえも思い知らされるぞぉ。最近のガキは手強いかんなぁ。」

「何事も経験っすよ。」

「ま、そりゃそーだ。」

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