どこかで誰かが…
その時、

「うっす。」


後方高めの位置から、耳に入ってくる声は…清瀬だ。


「いたの?」

「いたの。…邪魔しちゃ悪いと思って…」

「はあ?なにそれ?」

「俺、あいつ知らないし。高木だっけ?」

「あー、1年の終わり頃編入してきて、男バス」

「そんくらいは知ってるって。」

「だよね。」

「…つきあってんの?」

「まさか!」

「なんで“まさか”?」

「だって高木くんには好きな人がいるし。」

「…なーんだ。飯田が高木に、おまえのこと聞かれたって言うからさ。」

「あー。ソレは、前に飯田くんのことが話題になったことがあって…だから私の名前を出したんじゃないかな?」

「え?高木の好きな奴って飯田なの?」

「…なワケないでしょ。」

「は、は、はーだ。」

「…言わないよ。」

「聞かねーよ。…つーか、おまえさぁ、また同じこと繰り返すなよ。」

「えへぇぇ?なぁに?」

「…ま、いーや。」

「?ワケわからない。」

「どーでもいーけど、疲れたぁー!」

「声がでかい!もうちょっと離れてよぉ。」

「なんだよ。高木ん時と随分違くね?」

「あんた目立つから!」

「おまえってさ、昔っから、変なことは気にするよなぁ?…くだらね。」

「なによ!ムカつく!」


それから会話のないまま、二人が乗る電車は走っていく。

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