どこかで誰かが…
佳菜子は、居残りをされられたうえ、担任が妙に暑苦しかった、あの日のことを思い出していた。


(だからあの時間に、高木くんも学校に居たんだぁ。…職員室じゃ高木くんの話でモチキリだったんだろうなぁ…)


そこへ

「最初から居なかったんだって思うってさ!」

吉田の言葉が耳に入ってきた。


「それ、ひどくない?」

「あたしの言葉じゃないよ!男子が、そうやって思うようにしたんだって言ってたから」

「まあね、半年?」


そんな会話が飛び交う中、

「だって居たじゃん。高木はここに居たじゃん!」


ゆっこは、持っていたボールを床に叩きつけ言った。


「…」


まさかのゆっこの行動に、皆が言葉を失っていた時、

「あ、ゆっこちゃん、ちょっと、あっち行こ。」


佳菜子は、ゆっこの背中にそっと手をまわし、体育館裏に連れ出した。


「佳菜子、随分冷静だね?何か聞いてたの?」

「え…なにも…」

「ホント?!あんなに仲良かったのに?!」

「それは…」

「なんか佳菜子、彼氏ができたら冷たくない?」

「え?」

「いくら昔から好きだったからって、告られて“はい、そーですか!”なんて…それじゃいったい、高木はなんだったの?!」

「…高木くんは…バスケが上手くて、頭の良い…気軽に話せる友達で」

「それは佳菜子が知ってる高木でしょ!」

< 66 / 433 >

この作品をシェア

pagetop