どこかで誰かが…
いつものゆっこが復活すると、
女子部員の空気も以前の明るさを取り戻していった。


「やっぱりさ、ゆっこちゃんは、キャプテンであって、ムードメーカーなんだよね〜。」

「…で?なんでおまえは、こんなところで弁当食ってんの?」


佳菜子は、屋上への階段の屋根の上で、独り、弁当を広げている。


「ここなら見つからないと思って。」

「…かなちゃん、みーつけた!」

「…なんかさ、また独りになること考えたら、最初から一人のほうが良い気がしてね。」

「可愛くねーなーホント。」

「知ってるよ!ほっといて!」

「おまえ、サワには甘えてるか?」

「なに?」

「たまには甘えてやれ。喜ぶから。」

「…」

「学校でこんなことがあった…嬉しかった!楽しかった!…悲しかった…などなど。」

「大沢の話を聞いてるだけで、時間切れだよ。」

「ったく、相変わらずだなあ。」

「私、あんまりサッカー知らないから、話くらいは聞いておかないと。」

「お?なんか、彼女らしいことしてんじゃん。」

「あー、ある人のウケウリなの。相手が自分のこと知ってくれなきゃ、上手くいくはずがないって。」

「それって、」

「あ、あんたの知らない人。」

「…ムリしてねーの?」

「まさか!」

「ならいーけど。…さて、僕は皆の居る場所へとかーえろっと!」

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