どこかで誰かが…
こうして、ゆっこと清瀬はつきあいはじめることになった。


男子バスケ部からは、なかなか女性として扱われることのないゆっこにとって、
清瀬の彼女としてチヤホヤしてくれる、サッカー部員の対応は、少しくすぐったい気分だった。


「あたし、サッカー部のマネージャーにでもなろうかなあ?」

「そしたら本性バレて、同じ扱いになるでしょ、やっぱ。」

「つか、彼女待遇も時間の問題なんじゃん?」

「も〜、みんな僻んじゃって〜」


部室での会話を聞いていても、幸せそうだ。


サッカー部の練習が終わらない時は、佳菜子と話して時間をつぶし、三人でファーストフードに寄ることもある。


「今度さあ、4人で遊びに行こーよ!」

思い付いたまま話すゆっこと、

「4人の休みが合う日なんて…難しいかも。」

冷静に返す佳菜子。

そこへ、

「俺らは夜でも地元で会えっけどなぁ。」

なんのフォローにもならない清瀬の言葉に

「あー!なんか今、仲間外れされた気分。」

小さく頬を膨らます、可愛らしいゆっこを見て、

「4人で遊ばなくたって、二人でいれれば充分なんじゃないのぉ?」

そう、佳菜子がからかってみせると、

少し照れながら否定するゆっこに、
恋する乙女の“喜怒哀楽”の変化の忙しさに感心させられるのだった。

その時、

「ホント、なんで堀口が居るんだって話だよ。」

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