どこかで誰かが…
(あのまま二人の仲が引き裂かれてたら、私、今どうなってたんだろう…?)


答えは簡単。

未だ“彼氏”と言える男子とは、めぐり逢えていなかったに違いない。



以前から、阿部・吉田カップルに憧れていた佳菜子は、
ゆっこと清瀬にも見せつけられることとなり…


同じ学校に相手がいる安心感や、いつもそばで相手を見ていられる幸せ…ときめきや喜び、全てが楽しそうに見えて、時には羨ましくも思えてしまうことがあった。


そんな時は、大沢と付き合えている奇跡に、

“贅沢な悩みだ”と、

自分に言い聞かせるのだが、

バスケットコートの片隅や、
1人で乗り込む帰りの電車の中で、
時折、高木がいた頃を思い出しては、

“あの時、高木くんの気持ちに気づくことが出来ていたら…”

つい、そんなことを考えてしまう。


胸に秘めた想い…

心の片隅に、今でも高木がいることを、佳菜子は誰にも言えずにいた。


でも、これは決して、後悔をしているのではない。


(必ずしも皆が、一番に好きな人とつきあえてるのかなぁ?)


今の佳菜子にとっての一番は、間違いなく大沢で、

高木って誰かと聞かれたなら、

“忘れられない人…”と想いながら、

「バスケの練習相手やアドバイスをしてくれた、尊敬できる人なんだぁ。」

と、答えるのだった。

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