パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~
「久しぶり…」


奈桜が昔のように照れながら言う。
出来るだけ自然に…高ぶる感情を悟られないように。


「久しぶり…」


梓の芯の強さを秘めた瞳が、一気に優しく崩れて行く。
奈桜はわざと視線を外して公園を見渡しながら梓の横のブランコに座った。
お互い、何か言いたいのに何を言えばいいのか分からない。
当たり障りのない言葉を探す事は意外と時間がかかった。


梓はゆっくりとブランコを漕ぎ出す。


「奈桜、すごく大人っぽくなったね。落ち着いた感じがするな。前はちょっとカワイイ雰囲気があったもんね」


ブランコのスピードを落として微笑みながら奈桜を見る。


「やっぱ、パパとしての責任感が滲み出てるんだな…」


奈桜が満足げに呟く。


「…パパ?」
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