パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~
「えっ!?」


奈桜がすっとんきょうな声を出して固まった。


「今、パパがどうとかって言わなかった?」


「言ってない!!言ってないよ。言う訳ないだろ?…パパなんて。パ…パ…パパッと仕事をする責任感が出て来たんだよ」


奈桜はかなり苦しい言い訳をした。
おかしな日本語であろうとも、ここは押し切るしかない。


「仕事…、頑張ってるもんね。トップアイドルじゃない?テレビだって、『Z』ばっかりやってる。気安く呼び捨てに出来ないわね」


まず、奈桜は『パパ』の部分にこだわらなかった梓にホッとした。
そして、寂しげに見つめて来る梓の視線を外せなかった。


「呼び捨てでいいよ。ずっとそうなんだから。梓だって、ハリウッド女優だろ?すごいよ……梓?」


下を向いた梓の肩が小刻みに震えている。


「ごめん……オレ、なんか悪い事言った?ねぇ、どうしたの?」


奈桜は慌ててブランコを降りると梓に駆け寄る。
瞬く星たちが…ただじっと2人を照らしている。
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