パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~
梓は何も言わず、声を殺して泣いている。
奈桜は…
梓の横に寄り添うように黙ってしゃがみ込む。
肩を優しく抱きたい衝動は、辛うじて理性が抑えつけた。
「ごめんね…。ほんとにごめん。絶対、泣かないって決めてたのに。…顔見たら…。ごめん。気にしないで」
ようやく顔を上げた梓は涙を拭いながら笑った。
そしてその仕草が、自分を可愛らしく演出しているだろうと同時に思った。
「なんも気にしてないよ。…アリがさ、歩いてたから。しゃがんで見てただけ。見てると面白いんだよね。……あ、なんの話だっけ?」
グループで1番癒し系と言われる穏やかで優しい奈桜の笑みが、梓の女優の顔を剥がして行く。
「…奈桜」
梓はフッと笑うと、ゆっくり立ち上がり奈桜に向かって右手を差し出した。
「今日はありがとう」
奈桜も立ち上がり、おもむろに右手を出す。
「また会えるかな?」
「え?」
戸惑う奈桜の右手を掴んで強く引き寄せると軽く唇を重ねる。
「唇、頂き♪…じゃあね。また」
甘い香りと柔らかい、懐かしい感触を奈桜に残して梓は早足で帰って行く。
「ちょっと……なんだ?」
呆然と立ちすくみながら遠くなる梓の背中を見送った。
奈桜は…
梓の横に寄り添うように黙ってしゃがみ込む。
肩を優しく抱きたい衝動は、辛うじて理性が抑えつけた。
「ごめんね…。ほんとにごめん。絶対、泣かないって決めてたのに。…顔見たら…。ごめん。気にしないで」
ようやく顔を上げた梓は涙を拭いながら笑った。
そしてその仕草が、自分を可愛らしく演出しているだろうと同時に思った。
「なんも気にしてないよ。…アリがさ、歩いてたから。しゃがんで見てただけ。見てると面白いんだよね。……あ、なんの話だっけ?」
グループで1番癒し系と言われる穏やかで優しい奈桜の笑みが、梓の女優の顔を剥がして行く。
「…奈桜」
梓はフッと笑うと、ゆっくり立ち上がり奈桜に向かって右手を差し出した。
「今日はありがとう」
奈桜も立ち上がり、おもむろに右手を出す。
「また会えるかな?」
「え?」
戸惑う奈桜の右手を掴んで強く引き寄せると軽く唇を重ねる。
「唇、頂き♪…じゃあね。また」
甘い香りと柔らかい、懐かしい感触を奈桜に残して梓は早足で帰って行く。
「ちょっと……なんだ?」
呆然と立ちすくみながら遠くなる梓の背中を見送った。