愛のため息
「イブの日にミイとは健全な付き合いをするっておじさんたちに宣言したのはさ、
おじさんたちに心配させたくなかったんだよ」


昔ながらの顔なじみの俺だけど、所詮ミイのお婆さんが貸してるアパートに住んでるだけの繋がり。



そんな俺を信頼してなのか、はたまた娘のミイを信頼してなのか知らないけど、
1人暮らしの男の家に、娘が居座るのを、親としては全く心配しないとは思えない。



それでも俺を信用してミイを預けてくれてた。
昔の俺はそれを求めてなくて不本意だったけどさ。



だから付き合い始めた時ケジメとして、おじさんたちに宣言したんだ。




ミイを大切にするって思いを込めて。



「まあおばさんに至っては、体の付き合いがあっても妊娠さえしなきゃ問題ないと思ってたみたいで俺の宣言なんて、無駄と言わんばかりの様子だったけどさ」



俺の宣言は無意味と言わんばかりのおばさんの様子に、あの時は顔が引きつったままなかなか元に戻らなかったっけ。




ミイもその時の様子を思い出したんだろう。




クスクスと面白そうに笑い出した。




『タカちゃん、あの時すごく困った顔してたよね』




ようやく見せてくれたミイの笑顔に、肩の力がスッと抜けたのがわかった。




< 115 / 130 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop