愛のため息
『すみませんでした』




メールを送ったところで田村さんが電話を終えて席に戻ってきた。





『さっき、私にも年上の幼馴染みがいるってミイちゃんに言ってたの覚えてます?その人からの電話でした。

その人の家の庭先でバーベキュー始めたから、来ないかって。うちの両親も行ってるみたいで』




「じゃあ、そろそろ出ようか」




『急がせてるみたいですみません』




「いや、俺もこの後行くところがあったから」




そう言うと、安心したのか嬉しそうに笑った。




「幼馴染みに会えるのが嬉しいって顔してるね」




すると田村さんは、恥ずかしがるどころか、もっと嬉しそうな顔で頷く。



『すごく嬉しいです!実は何年も音信不通だったんですよ。・・・おじさんたちにも居場所がわからなくて、みんな本当に心配してて…。

でも最近ひょっこり戻ってきて。色々あったみたいです』





途中悲しそうな顔をされ、悲しかった頃の気持ちを思い出させるようなことを聞いてしまったかと焦る。




「ごめん、からかうように聞いてしまって・・・」





『いえ!こっちこそ余計なことまで話しちゃってすみません!

まあ、そんなわけで、こうしてまた連絡取れるようになったのが本当に嬉しくて!

色々あって大変だったろうに、変わらず強くて素敵で・・・。私もそうなりたいって今でも私の憧れの人なんです!』




「そっか。良かったね、また会えて。そんなに大好きな彼なら早く行ったほうがいいね』








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