あなたへ。
また、明の運転でどこかに行きたいと考えていた。
前に海に行った時は、まどかや千晶もいたが、今度はあたしと明だけで出かけたい。
そりゃあもちろん、気心の知れた友達三人で出掛けるのももちろん楽しいが、今は明と一緒にいることを優先したかった。
今この瞬間も、明に会いたかった。
今、明は何をしているのだろう?
そう言えば今日、まどかや千晶と合流する前に、「これから友達と遊んでくるね」とメールしたが、返事が来ていなかったのを思い出した。
今、どこにいるの?
誰と何を、しているの?
少しはがり、心に不安が過った。

「…それでさぁ、杏子」

「ん?」

すっかりスパゲティを平らげた千明が、真剣な表情で真っ直ぐあたしを見ていた。

「さっきまどかが言ったこと、気にしなくていいと思うよ」

「……え?」

「ほら、…その…。早く明さんにさせた方がいいって言ってじゃん」

「…ああ」

あの事を、千晶も気にしてくれてたのか。

「明さん、杏子の心の準備が出来るまで待っててくれると思うんだ。だから、焦る必要なんてないよ」

「そう…かな?」

もうあたしにとっては、何が正解で何が間違っているのかわからない。
だけどあたしは、千晶がそう言ってくれるのがありがたかった。

「そうだよ。だって明さん、本当に杏子の事好きだって思うもん。いくら明さんがしたいって思っててもさ、好きな人の気持ちを尊重してくれるでしょ。明さんって、そういう人だと思う」

「千晶……。ありがとう…。」

「ううん。だから、明さんと自分の事、信じるんだよ」

そうだ。明ならきっと、待っててくれる。あたしの事を思いやってくれる。
だから、焦る事なんてないんだ。

けど……。
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