あなたへ。
初めて明と一つになれて、それから少し二人で抱き合って眠って。
ゆっくりと目を開けると、すぐそこに明の顔があった。目が合うと明は「起きた?」と笑い、あたしの頬にキスをしてくれた。
こんなに好きになった人と、こんなに近くで一緒にいれるなんて。少し前のあたしだったら、全く知らなかった喜びだった。
「今…何時?」
「16時半ちょっとだよ」
あたしが尋ねると、明が答えてくれた。その声が、今まで聞いたことないくらい優しくて、あたしは何故か泣きそうになった。
「あ、お母さん帰ってくるんじゃあ…」
「ん、今日遅番だし。最近じゃ結構、パート仲間と飲みに行ったりしてるみたいだから、今日も遅くなるんじゃねぇかな」
「そっか……」
「帰りもまた、ちゃんと送るから」
「ありがとう」
あたしがそう言うと、明がまた抱きしめてくれた。身長158センチのあたしの体は、180センチ以上ある明にスッポリ隠れてしまう。
「明?」
「帰したくねぇな」
「……」
「俺、このままずっと杏子と一緒にいたい」
明ははっきりと強い口調で言った。あたしだってそれはもちろん同じ気持ち。
あたしは本当に明が好き。こんなに人を好きになったのは初めて。だからいつも明と一緒にいたいし、片時も離れたくない。
「でもさ、今は俺も杏子も実家暮らしだもんな。そうは言っても、なかなかな」
明はそう言うと苦笑して服を着始めた。あたしも今の今まで自分が一糸纏わぬ姿のままだったことを思い出し、急に恥ずかしくなった。
「そう…だね」
そうだ。さっき、明はこの家に居たくない、居辛いって言ってたっけ。だから雛妃さんの部屋に転がり込んだって。
明は多分、寂しいんだ。居場所が欲しいんだ。こんな家族バラバラの状態の寂しい家には、居たくないんだ。
もしかしたら…ここから明を出させてあげられるのは、あたししかいないかもしれない。
あたしは、雛妃さんみたいに、自分の理想像を明に押し付けたりしない。
そのままの、ありのままの明を好きでいられる自信がある。本当、根拠はないんだけど…。
もしかしたら、あたしがそうしないと明はダメになるかもしれない……。
「あたし、家を出ようか?」
「え……」
あたしが真っ直ぐ、明を見つめて言った。いつも内気で気弱なあたしにしては意思が感じられたのか、明はその言葉に少し驚いたようだった。
「あたしが実家出て、部屋を借りるよ。そしたら明も遊びに来れるし、なんなら来てもいい」
「そりゃあ、そうだけど…。でも部屋借りるのって、結構金掛かるぞ?敷金とか礼金とか、最初に何万か必要だし」
「バイトして、お金貯めるよ。なんだったら、今のバイトの他にもう一つ、掛け持ちしてもいい」
「そうは言っても…。大体、杏子の父さん母さんは大丈夫なのか?そんな突然家出るなんて言い出したら、なんでってならねぇか?
心配だってするだろうし…。杏子がいなくなると、皆寂しくなるんじゃねぇのか?」
パパとママか…。確かに明の言う通り、いきなり家を出て一人暮らしをするなんて言い出したら、きっとビックリするだろうな。
まだ就職だって決まってないのに何を言ってるんだって、反対だってされるかもしれない。けど、あたしは明と一緒にいたい。
その為だったら、パパとママを説得だってしてみせる。
それに…パパは相変わらず仕事ばかりだし、ママは相変わらず瞬介のことばかり気に掛けている。
家族みんな揃って団欒なんて、しばらくしていない。あの家に、あたしは必要ないんじゃないか。あたしの居場所なんてないんじゃないか。
そう、明と同じように、あたしだって寂しいんだ。寂しい人と寂しい人が二人で寄り添えばいい。
「パパは仕事人間だし、ママはあたしより弟が可愛いみたいでさ、あたしが出て行っても、何とも思わないと思う」
「そんな事ねぇよ。だって、自分の親だぞ?」
「うん…けど、前から家出て自立したいと思ってたし。もし親に反対されても、なんとか説得する。あたし、頑張って部屋借りるよ。
自分の為にも、明の為にも」
「そうか…でも、無理はするなよ?」
「うん。今よりももっと明と一緒にいたいから頑張る」
自分がそう言って、なんだか勝手に気持ちが盛り上がり、あたしは思わず明に抱きつき、その首筋に顔を埋めた。
「…わかったよ。でも、もう服着てくれねぇ?そんな格好でこんなことされちゃ、理性が吹っ飛ぶからさ」
明にそう言われて、あたしは我に返った。…まだ生まれたままの姿だった。いやはや、このあたしがこんなに大胆になれるなんて。
でも自分の意志でこうしたいと思い、それに向けてこんなに積極的になれるのは、生まれて初めてかもしれない。
ゆっくりと目を開けると、すぐそこに明の顔があった。目が合うと明は「起きた?」と笑い、あたしの頬にキスをしてくれた。
こんなに好きになった人と、こんなに近くで一緒にいれるなんて。少し前のあたしだったら、全く知らなかった喜びだった。
「今…何時?」
「16時半ちょっとだよ」
あたしが尋ねると、明が答えてくれた。その声が、今まで聞いたことないくらい優しくて、あたしは何故か泣きそうになった。
「あ、お母さん帰ってくるんじゃあ…」
「ん、今日遅番だし。最近じゃ結構、パート仲間と飲みに行ったりしてるみたいだから、今日も遅くなるんじゃねぇかな」
「そっか……」
「帰りもまた、ちゃんと送るから」
「ありがとう」
あたしがそう言うと、明がまた抱きしめてくれた。身長158センチのあたしの体は、180センチ以上ある明にスッポリ隠れてしまう。
「明?」
「帰したくねぇな」
「……」
「俺、このままずっと杏子と一緒にいたい」
明ははっきりと強い口調で言った。あたしだってそれはもちろん同じ気持ち。
あたしは本当に明が好き。こんなに人を好きになったのは初めて。だからいつも明と一緒にいたいし、片時も離れたくない。
「でもさ、今は俺も杏子も実家暮らしだもんな。そうは言っても、なかなかな」
明はそう言うと苦笑して服を着始めた。あたしも今の今まで自分が一糸纏わぬ姿のままだったことを思い出し、急に恥ずかしくなった。
「そう…だね」
そうだ。さっき、明はこの家に居たくない、居辛いって言ってたっけ。だから雛妃さんの部屋に転がり込んだって。
明は多分、寂しいんだ。居場所が欲しいんだ。こんな家族バラバラの状態の寂しい家には、居たくないんだ。
もしかしたら…ここから明を出させてあげられるのは、あたししかいないかもしれない。
あたしは、雛妃さんみたいに、自分の理想像を明に押し付けたりしない。
そのままの、ありのままの明を好きでいられる自信がある。本当、根拠はないんだけど…。
もしかしたら、あたしがそうしないと明はダメになるかもしれない……。
「あたし、家を出ようか?」
「え……」
あたしが真っ直ぐ、明を見つめて言った。いつも内気で気弱なあたしにしては意思が感じられたのか、明はその言葉に少し驚いたようだった。
「あたしが実家出て、部屋を借りるよ。そしたら明も遊びに来れるし、なんなら来てもいい」
「そりゃあ、そうだけど…。でも部屋借りるのって、結構金掛かるぞ?敷金とか礼金とか、最初に何万か必要だし」
「バイトして、お金貯めるよ。なんだったら、今のバイトの他にもう一つ、掛け持ちしてもいい」
「そうは言っても…。大体、杏子の父さん母さんは大丈夫なのか?そんな突然家出るなんて言い出したら、なんでってならねぇか?
心配だってするだろうし…。杏子がいなくなると、皆寂しくなるんじゃねぇのか?」
パパとママか…。確かに明の言う通り、いきなり家を出て一人暮らしをするなんて言い出したら、きっとビックリするだろうな。
まだ就職だって決まってないのに何を言ってるんだって、反対だってされるかもしれない。けど、あたしは明と一緒にいたい。
その為だったら、パパとママを説得だってしてみせる。
それに…パパは相変わらず仕事ばかりだし、ママは相変わらず瞬介のことばかり気に掛けている。
家族みんな揃って団欒なんて、しばらくしていない。あの家に、あたしは必要ないんじゃないか。あたしの居場所なんてないんじゃないか。
そう、明と同じように、あたしだって寂しいんだ。寂しい人と寂しい人が二人で寄り添えばいい。
「パパは仕事人間だし、ママはあたしより弟が可愛いみたいでさ、あたしが出て行っても、何とも思わないと思う」
「そんな事ねぇよ。だって、自分の親だぞ?」
「うん…けど、前から家出て自立したいと思ってたし。もし親に反対されても、なんとか説得する。あたし、頑張って部屋借りるよ。
自分の為にも、明の為にも」
「そうか…でも、無理はするなよ?」
「うん。今よりももっと明と一緒にいたいから頑張る」
自分がそう言って、なんだか勝手に気持ちが盛り上がり、あたしは思わず明に抱きつき、その首筋に顔を埋めた。
「…わかったよ。でも、もう服着てくれねぇ?そんな格好でこんなことされちゃ、理性が吹っ飛ぶからさ」
明にそう言われて、あたしは我に返った。…まだ生まれたままの姿だった。いやはや、このあたしがこんなに大胆になれるなんて。
でも自分の意志でこうしたいと思い、それに向けてこんなに積極的になれるのは、生まれて初めてかもしれない。