ツギハギ
「梓、私、ここにいるよ?ねえ、開けて?」
口調は穏やかだが
梓は何故か開けてはいけないと、思った。
「本当に…若菜…なの?」
震える声で口にした言葉の答えは
聞かなくてもわかっていた。
「そうだよ、早くあけて」
違う。若菜じゃない
とっさに思った。
正確には“もう”若菜じゃない。
そんな気がした。
若菜の背後に見える玄関が奈落の入口に見える。
絶対開けてはいけないと頭の中で警鐘が鳴る
鳴るのに…
「梓、あんたが怖がってると思って
隣に話しつけに来たんだよ?ほら、開けてってば」
そう話す若菜は
いつもの若菜のようにも思える。
梓はつい鍵を開けようとしてしまう
だが
次の瞬間
玄関が揺れだしたのだ
「開けろ!」
「開けろ!」
「あけろ!」
「アけろ!」
それは若菜だけじゃなく
無数の人間の声。
どれも憎悪に満ちた
おどろおどろしい声。
「いや……いやぁぁっ」
梓は恐怖でその場で
しゃがみ込んでしまった
耳を塞ぎ
目を綴じる
がたがたと身体が
震えて
到底立ってなどいられなかった
どれくらいそうしていただろう
気が付けば
揺れは納まり声も止んでいた。
梓は落とした携帯を
耳にあててみた。
「わ…かな……」
呼びかければ
暫し沈黙が続く。
そしてゆっくり立ち上がり覗き窓を覗けば
若菜はいなくなっていた
だが
隣のドアはあいたままだ
梓は下に視線を移し
息を飲んだ。
玄関から足が見える。
その足は、若菜が履いていた靴を履いている
しかしその足は血だらけで、ピクリとも動かない
「若菜!」
梓は咄嗟に鍵を開け
ドアを開いた
しかし外にでれば
隣の部屋の玄関は閉ざされている。
口調は穏やかだが
梓は何故か開けてはいけないと、思った。
「本当に…若菜…なの?」
震える声で口にした言葉の答えは
聞かなくてもわかっていた。
「そうだよ、早くあけて」
違う。若菜じゃない
とっさに思った。
正確には“もう”若菜じゃない。
そんな気がした。
若菜の背後に見える玄関が奈落の入口に見える。
絶対開けてはいけないと頭の中で警鐘が鳴る
鳴るのに…
「梓、あんたが怖がってると思って
隣に話しつけに来たんだよ?ほら、開けてってば」
そう話す若菜は
いつもの若菜のようにも思える。
梓はつい鍵を開けようとしてしまう
だが
次の瞬間
玄関が揺れだしたのだ
「開けろ!」
「開けろ!」
「あけろ!」
「アけろ!」
それは若菜だけじゃなく
無数の人間の声。
どれも憎悪に満ちた
おどろおどろしい声。
「いや……いやぁぁっ」
梓は恐怖でその場で
しゃがみ込んでしまった
耳を塞ぎ
目を綴じる
がたがたと身体が
震えて
到底立ってなどいられなかった
どれくらいそうしていただろう
気が付けば
揺れは納まり声も止んでいた。
梓は落とした携帯を
耳にあててみた。
「わ…かな……」
呼びかければ
暫し沈黙が続く。
そしてゆっくり立ち上がり覗き窓を覗けば
若菜はいなくなっていた
だが
隣のドアはあいたままだ
梓は下に視線を移し
息を飲んだ。
玄関から足が見える。
その足は、若菜が履いていた靴を履いている
しかしその足は血だらけで、ピクリとも動かない
「若菜!」
梓は咄嗟に鍵を開け
ドアを開いた
しかし外にでれば
隣の部屋の玄関は閉ざされている。