ツギハギ
梓は隣の部屋のドアを叩いた。
「開けて!ねぇ!
中に若菜いるんでしょ?」
梓は手が赤くなろうが
何だろうが構わず叩き続けた。
すると、玄関が開いて。
だがそれは他の部屋の玄関。
「何時だと思ってる!近所迷惑だろ」
隣人のさらに奥の部屋の住人だった。
「すみません、あの、
友人がここの人に連れ込まれて…怪我してるかもしれないんです!」
取り乱した様子の梓を
気味の悪い物でも見るような目つきで
その住人は見た。
そして
「その部屋空室だよ」
そう言い扉を閉めた。
梓は暫くその場に立ち尽くしていた。
その後警察に連絡し
管理人と警察が立ち会い
隣の部屋に入っが
住人が言うようにものけのからで
若菜どころか
血痕すら見つからず…。
しかし、梓が納得がいかず、この出来事を管理人に話すと
管理人は明らかに動揺し
隣室に纏わる話しを
しだした。
その内容は
隣室は
以前殺人事件があったらしく
住んでいたカップルの男が、浮気した彼女の頭を何度も何度も、
壁に打ち付け殺害して
女性の遺体をバラバラにし、洗濯機に入れたとか
そんな内容だった。
部屋の壁に大きな血痕の染みと
衝撃でできた窪みが
修理しても
気づくとまたでてくるので、それ以来貸し出していないとも言っていた。