ツギハギ
これ………
若菜の着信音と同じ
「……ま、まさか…」
背中に冷たい何かが走る。
単なる偶然。
梓はそう思いながらも
確認の為
一旦若菜への発信を止めてみた。
すると
ピタッと電子音は止まる
そして再度発信すれば
壁の向こうから
また音色が微かに聴こえてきた
「や、やだ、なんで…
なんで…」
梓は動揺して
そのまま発信を切断してしまった。
すると
今度は着信を知らせる音が梓の部屋に響く。
表示は若菜―
梓は直ぐに通話ボタンを押した。
「もしもし若菜!?」
梓が話しかけている間も部屋には
壁を殴る音と
震動が響いている
「……梓、何してるの」
梓が必死に呼びかけるのに対して
返ってきた若菜の声は
酷く落ち着いていた。
「若菜、聞いて、あのね」
「あ、ずさ、何、して、るの?早、く、お、いで、よ」
それはあまりにも不自然な話しかただった
途切れるような
震えるような
「…若菜?」
梓も異変に気づく。
そしてよくよく聞けば
受話器の向こうから
壁を殴るような音がする
「わ…若菜、今どこにいるの?」
聞かなくても予想できた
だけど、まさかとも思った。
受話器の向こうで
若菜が笑う。
まるで狂ったように
そして
次に電話が切れた。
「若菜…」
梓が呆然としていると
今度は壁ではなく
玄関の扉が叩かれる音が響く。
肩を震わせた梓だが
ゆっくり玄関に向かい覗き窓を覗いた
誰もいない
だけど
隣のドアが開いている。
中から誰かが出てくる気配がした
それと同時に
梓の携帯に着信を知らせる音がなる
表示は若菜
梓は震える手で通話を押した。
何故だか
覗き窓から離れられず
覗いた状態で
携帯を耳にあてた。
すると隣の玄関から
携帯を持った若菜がでてきたのだ。
梓は瞠目し声を無くした