嘘つき⑤【-sign-】
痛い程きつく包まれた腕の中。
「…すまない」
どうして、今ここで謝るのか、あなたらしすぎて笑える。
「…愛しています」
自分の口から落ちた言葉に震える胸が苦しい。同時に湧き上がる想い。
思えば、口にして伝えたのは初めてかもしれない、
だって、難しくて、受け入れてくれないと分かっている言葉程、軽くなってしまう気がして
全部、その全部が愛しくて。
愁哉さんが少し驚いたように私を見つめる。
次にくれたのは、笑顔、
「…もう離す気はない」
細まる瞳に映っていたい。
「私もです。離しませんわ。」
「無駄だと、いったでしょう?」
いつだってあなたしかいらない。