嘘つき⑤【-sign-】

眠れない闇は静かで深くて、元々眠りが浅い私は深夜目を覚ます。


同じ家に、愁哉さんがいると思っただけでも緊張するなんて、なんて馬鹿らしいのかしら。


本当に。



私は何故こんなにもあの方を求めるのかしら?


報われないと分かっているのに。




ただ、この感情が消えてしまわぬように。



温かくて、苦しくて、真っ黒なこの人間らしい感情が無くなってしまわないように。



初めて芽生えた感情を失う事が怖いのかもしれませんわね。


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