嘘つき⑤【-sign-】
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どれだけ沈んでいたのか分からない。


規則的な正しい揺れに、緩やかな鼓動の音が心地よくて、だけど体に感じた違和感に重い瞼を動かせる。
私は一瞬、目の前に捉えた光景に息を呑んだ。




「愁、愁哉さんっ…!?」



いつの間にか





愁哉さんに抱きかかえらた体。ゆっくりと歩くその胸に顔を預けていた。



「ああ、起きましたか」


愁哉さんは何でもない事の様に整った綺麗な顔をピクリともさせずそう言った。




「わ、わた私、お、降りますわ」



焦る声色と同時に動かせた体に、愁哉さんはあからさまに不快な顔をする。





「ここで眠って下さい。」




その言葉に深い意味はないのに、何が何だか分からない感覚に襲われて私の顔はただ赤く染まった。



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